『雑感』

稀に更新します。

ポール来日とJC週

 

 

11月19日。冷え込みの厳しい中、高層ビルの谷間に屯する競馬ファン。

未だ昭和の匂いが残るウインズ後楽園を尻目に東京ドームから聴こえる大歓声。

ポール・マッカートニー久々の来日公演は大盛況の内に終わりました。

 

 

 

何故会場が「武道館」ではなく「東京ドーム」なのか?という疑問はさておき。

チケット争奪戦に敗れた貧乏大学生は、少しでもポールの声が聞こえないかと、メインレース間近の南関ナイター競馬を余所にゲート前をウロウロしながら、聞き耳を立てていました。

冷たい風の音に紛れて、我慢すること約10分。悲鳴にも近い歓声と共に、ついに「歌声?」らしき気配が耳に届いた…ような。想像していたより低い音程も、明らかに「観客の歓声とは声質が違います。 

それからもう少し粘りましたが、長居すると風邪をひきかねないので退散。また来て欲しいですけどね。

 

このところ、海外のビックネームが来日ラッシュです。アヴリル・ラヴィーンが新曲のプロモーションで訪日。テレビ番組内でPerfumeと交流があったと報道されました。先日は歌姫アリシア・キーズも日本ツアーを行い、浅草観光を楽しむ姿が報道。少し前にはワン・ダイレクション、ケイティ・ペリー、ケーシャらも来日し、慌ただしい霜月でした。音楽業界はどの国でも不振と言われますが、その中で日本は比較的、まだ音楽が「お金になる」ということなのかもしれません。CDからダウンロード主体になりつつある昨今、楽しみ方の選択肢が広がったからこそ、私たち「消費者」も多様な方向から音楽と触れ合いたいものですが、どうにも難しい話です。

 

競馬界もジャパンカップが近づき、海外競走馬の来日が増える時期です。

しかし、残念な事に今年はエリザベス女王杯マイルCSに登録馬がありません。ジャパンカップの登録馬も3頭、ジャパンカップダート登録馬に至っては1頭という有様。その内訳もGⅠ馬こそいますが、やはりトップレベルからは1枚落ちたメンバー。大変寂しい状況です。

 

ここ数年、海外馬による日本遠征の減少が言及されています。近年はE・ダンロップ厩舎やJ・ハモンド厩舎、M・スタウト厩舎といった親日派の調教師やオーナーサイド(社台グループ半持ちなど)が成績不振や方針転換などから遠慮気味になり、他陣営からの新規参入も中々ありません。

ここ数日、webや雑誌上のコラムなどで活発に原因・問題点が取り上げられています。しかし、その殆どは建設的な意見・提案を交わしていません。中には「ファンに責任を押し付ける形」で着地した文章まである始末。

確かに日本の競馬場は、世界的にも特殊な面が大きいです。しかし、欧米にも堅い土のコースや、起伏の激しい道中といった、特殊なコース形態が大手競馬場でも存在します。縮小傾向ですが、オールフェザー馬場でもレースが施行されています。日本の「芝」「ダート」は世界共通のものではありません。ロンシャンの芝に対応出来ても、欧米各国の芝に対応できるかは分かりません。例えば、アスコットやエプソムの芝はロンシャン以上にハードと言えるでしょう。

日本の競馬場は世界的にも「特殊」だとは思います。この辺り、僕はもっとポジティブに捉えて良いと感じます。硬すぎる馬場にしても、エアレーション作業が実施されるなど、地道に「行き過ぎの緩和」が見られます。事実、今年の中山競馬場秋開催や新潟競馬場夏開催は時計面で大きな変化が見られました。

 

今回、イギリスから参戦するジョシュアツリー。前回の来日時は、A・オブライエン(当時管理)の「広い直線コースが得意な同馬なら日本も合うのではないか」という考えによるものでした。結果的には10着に敗れ「高速馬場が合わなかった」というコメントを残していますが、レース自体は好位内でしっかり脚を溜め、直線前をカットされなければもう少し伸びてもいい?と思わせる走りだったと思います。

最後に差し抜かれた同じく海外から参戦の9着シュリスデゼーグルは、当時こそ主な勝ち鞍ドラール賞(GⅡ)という戦績でしたが、今では言わずと知れたGⅠコレクター。そもそもカナディアンインターナショナルSはGⅠながら国際的な格の位置づけでは低め。とすると同一GⅠ3勝の実績があるとはいえ、トップホースから1枚落ちると言われても仕方ない同馬のこの走りは、むしろ大健闘だったのではないでしょうか。

 

外国馬の好走は普通にあるという事。決して「トップホース」とはいえない日本馬でも海外遠征は成功します。この場合、ナカヤマフェスタの(GⅠ馬かつ相手関係も楽だったとはいえ)凱旋門賞で2着健闘したケースが挙げられますが、これは適性面だけではなく、血統面、遠征過程、調教方法、レースまでのプロセス、そして蛯名騎手の騎乗が上手く噛み合ったからこその結果だと考えられます。

 

海外遠征の一番の問題点は「お金」です。多大な苦労・リスクがあるのは事実です。

同時に外国馬の日本遠征と、日本馬の遠征(特に凱旋門賞挑戦)には、明らかな温度差の開きがあることが分かります。民意として、日本人は海外遠征、とりわけ凱旋門賞に拘り過ぎている感があります。

 

もし、JCをもっと海外から魅力あるレースとし、遠征してもらえるようにするならば…

 

「賞金形態を変える」という即効的な効果しか得られない特効薬を何度も投与して大丈夫なのか。恐らく厳しいでしょう。とはいえ「日本の競馬観を根本的に見直そう」という意見は、現実に則した考えとは言えません。

個人的には「この意見」や「競馬は紳士淑女のスポーツ」なる言葉を都合よく引用されるのが苦手です。

 

話を戻して。


長期的ではありますが、積極的に日本馬の輸出を推奨するというのも効果がある気はします。
今やサンデーサイレンスの血は世界でも注目を受ける存在。これ以上、この血が日本で飽和を起こすことはいけません。しかし、十分に分かっていながらも進まないのが現状です。またサンデー系種牡馬にはトニービンやロベルトといった、日本でお馴染みの馬の血も飽和状態を迎えるような盛況ぶりです。

 

検疫の問題は簡単ではありませんが、日数・場所などを考える余地はあります。いっそのことJCを廃止すべきという意見も「役目を終えた」という見方を考えれば、一概に暴論とは言えません。廃止した分その賞金を上乗せして札幌記念をGⅠに格上げする、

あるいはダート2歳GⅠを新設する、といった選択肢も浮上します。

逆にJC当日はJCデーと称しJBC競走のようにレパートリーを増やす、という考え方もできます。

 

何より大事なのは、より多様な方向から考え、意見を交わし、時に提案するということ。私たち競馬ファンにも、できることは沢山あります。

 

ポールはかつてインタビューにおいて「誰でもいつかは死ぬ。だから生きてる間に何か、世界を変えようと思うことだ。子供たちに「生きている間は何かを変えることができる。さあ、何かしようぜ!」と伝えることだ。その方が楽しいだろう?」と答えています。盟友ジョン・レノンを事件、ジョージ・ハリスンと妻リンダを病気で早い時期に失ったポールですが、彼らの分も、残りの人生を引き籠って生きるつもりはない、と語っています。

 

好調期はそうそう続かないものです。問題は行き詰った際に何を試み、次の選択肢を生みだせるか。
私たちが立場を超えて議論すべきことは、競馬でも山積みされています。どうも私たちは、社会や政治、原発といった壮大なテーマになればなるほど活発に意見交換(半ばエゴ)を繰り広げるのに対して、少し身近な問題になると、ある程度見知っているからか敬遠しがち。自分の中に溜めこみすぎた挙句、どこかで文句となり爆発するのが目に見えています。

 

「そう言えば、初めて日本へ行った時も『武道館なんかで演るべきじゃない』とか文句を言う奴が居たよなあ。日本人って文句言うのが好きなんだろうか?」

 

毒舌で知られるポールはある番組の来日インタビューでこの様に言っていますが、恐らくそれは日本人が「文句を言うのが好き」なのではなく、ただ「意見を言うのが下手」なだけかもしれません。