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『雑感』

稀に更新します。

東京ダービーを終えて…

 

「正直、今年の2歳は厳しいだろうねぇ…」

半袖一枚では肌寒い9月の日高。海岸沿いの国道を外れて山道を大分進むとサンシャイン牧場があります。
関係者様のご厚意で見学させてもらったのは約2年前。プレティオラスの国営移籍が話題になった時期です。

2016年だから「時効」ということで、対応して下さったスタッフさんに当時の2歳馬(現4歳)に関する状況を聞いてみたところ、開口一番が冒頭の一言。終始トーンは高くありませんでした。

「…まぁ桑原厩舎にサピドって馬が入るけど、これが順調に行ったら面白いかな。今年はそんな感じ」
馬房の中で草を食べる栗毛の牝馬を指差しながら続けてくれました。残念ながら、そのサピドは能検後に頓挫もあり順調には行かず。それでも大井の蛯名厩舎に移籍して、現在まで2勝を挙げています。

独学で血統を学び、海外から繁殖を続々購入。一大勢力を作り上げたサンシャイン牧場の先代・伊達秀和氏。
アローエクスプレスファンタストといったG1馬を所有しながら、サンシャイン牧場を設立したのは1978年のこと。元々はダイワ精機株式会社(金型製造業)の代表で、背景には競馬に精通した父親の存在があったとか。

今日まで、他のオーナーブリーダーとは異なる独自性を貫くサンシャイン軍団。
何と言ってもダービー馬の輩出数が凄い。中小規模牧場の自家生産では一二を争う気がします。

フリオーソトップサバトンら強豪を退けた"東京ダービー馬"アンパサンドは桜花賞馬・ブロケードから続く伊達血統。立派な体型と激しい気性は引退後も健在です。高齢且つメラノーマの転移が著しいフィガロに代わり、昨年スタッドインしましたが、この気性面が産駒に影響を及ぼさないか心配なところ。

サンシャイン牧場を代表する種牡馬アローエクスプレスの血を引く"東京ダービー馬"プレティオラス。
2012年は同馬に加え、プーラヴィーダ、パンタレイの3頭が南関東3歳路線を盛り上げました。京浜盃を勝ったパンタレイは直前で故障離脱も、本番はプレティオラスとプーラヴィーダがワンツー。この辺り面白いですね。

繋養するフィガロザカリヤを積極的に種付けし、同時に新しい血も取り入れる。自家生産は厳しい戦いです。
そして、2016年。3歳馬バルダッサーレの東京ダービー制覇は大きな意味を持っています。
鬼門と言われた「サンデーサイレンス3×3」配合。その血統構成の根幹には、伊達血統の原点と言えるソーダーストリームの名前があります。名牝バレークイーンと共に2つの由緒正しき牝系が折り重なった凄い配合。

とはいえ、この一族はシアトリカル産駒のパルツェが米国で誕生するまで、厳しい状況にありました。活躍馬が増えたのは2010年代から。長い年月を経て、アローエクスプレス一族のダービー馬は誕生したのです。

もちろんダービー出走の経緯は賛否両論避けられないでしょう。
6年前のマカニビスティーも同じケースでした。この時は羽田盃2着からダービー優勝。矢作調教師にとって、東京ダービーが重要である事は言うまでもありませんが、そもそも簡単に勝てるレースではない訳で。

競馬ファンの偏った保守指向には呆れます。もう少し多角的に物事を考えて欲しい。
むしろ、そっちに落胆した東京ダービーでした。