『雑感』

稀に更新します。

映画「ガッチャマン」を見て来たお話

 

 

僕は三池崇史監督の作品が好きで、それこそ「スキヤキ・ウエスタン」「逆転裁判」も"擁護派"だったり。

中でも「ヤッターマン」「十三人の刺客」は好きな作品ですし、昨年公開された「悪の教典」も良かったです。
三池監督が「ヤッターマン」を制作するにあたって、制作サイドから当初「ガッチャマン」の実写化を提案されていた話は有名ですね。そこで「今の日本にガッチャマンを制作できる土壌はない」などと回答されています。

日本で「ダークナイト」「アベンジャーズ」的な娯楽大作が、軒並み外れている点は果たして偶然でしょうか?
そんな感じで…夏の終わりに期待していた(?)噂の映画「ガッチャマン」を観て来ました。

youtu.be 現代風コスチュームは悪くないと思うんですよね。しかも衣装は伊賀大介さん!

自分はともかく、うちの母親が「科学忍者隊ガッチャマン」への思い入れが強くて。最初に見たのは、(キッ○ステーション)で小学生の頃だったと記憶しています。毎回様々な巨大メカ"鉄獣"が登場し、科学忍者隊(とレッドインパルス)が退治する。時にシリアスな展開、時に現実社会に問題を呈するテーマ設定が垣間見えたりと。

科学忍者隊のアクション、戦闘ロボのデザインは特徴的ですが、個人的には南部博士の"チート感"が印象的で。さくっと敵兵器・戦略を見抜いて対策方法を考え付くわ、先制して敵を葬る作戦を立案するわ、ISOの長官(?)とばかりに政治力(指揮権)を振るう。しかも、基地内に敵が侵入すると自ら迎撃に参加する超・武闘派。
"前向きな"博士に酷使&失跡されるガッチャマンの5人は「大変だなぁ…」と心中を察してしまいます(笑)

 

さて、実写版ですが…序盤の展開を褒める声は少なくないです。字幕を用いた"プレゼンっぽい"説明導入から、ガッチャマンとギャラクター勢の戦闘シーンが始まる。この(殆どパ○リに近い)演出は狙い通りだと思います。メカのデザインに関しては完全に"ハ○ブロ社のそれ"ですし、白組のVFXもそれなりに迫力がありました。

その後は"ガッチャマンの葛藤"と"ガッチャマンとしての任務"が延々と描かれる。任務の合間にも、隊員たちは仕事や仲間の態度に不満を漏らしたり(急に除隊を申し出たり)、恋愛っぽい駆け引きを延々と見せられます。

てか、やたら台詞が多いんですよね。初音映莉子,綾野剛,松坂桃李のやり取りは"舞台っぽい"大袈裟な雰囲気。全体的に説明台詞の数が多過ぎだし、その台詞回しも演者の表情も"ワザとらしい"。重ったるいです。
特に中盤から勝手に始まる「ガッチャマン同士の仲間割れ」が苦痛なんですよ。人類の危機に何やってるんだ…
同場面に限らず、剛力の台詞が総じて"酷い"。最悪の人間性にしか映らないんですよ。完全にサイコパス(笑)

終盤のゴッドフェニックスVSタートルキング(白組のVFX力)は、「スポーツマン山田」くらいには楽しめます。
クライマックスの肉弾戦。緊迫した戦局の中でも、ガッチャマンたちはウダウダと喋り、ゴネます。
宿敵との決着の付け方も、エンディングも締りがないし、何よりエンドロール後の「おまけ」は"論外"。

 

この監督さんはドラマを含めて大味な作品を撮る人で(お父さんは割と好きなんですが)脚本家も"前科"がある。原作に対する"愛"がない。滅茶苦茶でも「パシフィック・リム」は"特撮愛"が勝っていたんですけどね。

もう監督のインタビューが酷くて…"自分が作りたいように作る"なら「もっと真剣に作れよ!」と言いたい。
しかも、(監督曰く)「本作はエピソード4にあたる」という謎発言。スター・ウォーズをも小馬鹿にしている。
一切「原作に対するリスペクトを削ぐ」なら、それ相応の気概と新しい解釈を見せて欲しいのですが。

少なくとも「ヨーロッパ全土が占領されて、人類が死滅しかけている」世界には見えない。日本は鎖国でもしているのか?しかも17日間で世界の半分を征服しながら、13年間膠着状態のも不思議な話(人類側が弱いのに)。
そして、ガッチャマンたちには全く以て感情移入が出来ない。脚本を見る限り「現代的な若者の悩みや葛藤」を描けていません。宇多丸師匠が「ブラック企業の駄目なバイトたちの話」が、言い得て妙だなぁと感じました。

youtu.be 久々に宇多丸師匠も「怒りモード」でした。いつ戦うの?いまでしょ(笑)

例えばノーラン作品の「ダークナイト」は"ヒーローが戦いに悩む"構図じゃ全くないんですけどね。
百歩譲って"社会的な葛藤"だったり、"物事の善悪"と関係ない"個人的な感情や境遇に悩む"設定を容認しても、それ相応の成長がないと「カタルシスがない」と思うんですが(この後もアイツら仕事を面倒臭がりそうだし)。

試写会に参加した先輩が「見るに堪えなかった」と言っており、業界内でも厳しい声が多いのは"救い"。
20世紀少年」「GANTZ」「カイジ」と酷い邦画を制作しまくる"某汐留局"には本当に呆れるばかりです。

 

ところで、松坂桃李綾野剛鈴木亮平剛力彩芽濱田龍臣の5人は優秀な俳優さんだと思いますよ。
松坂さんは特撮戦隊出身で、綾野さんは平成ライダー出身。鈴木さんは変態仮面だし、濱田君はウルトラマン。ヒーローものを演じる土壌は「十分ある」だけに「どうしてこうなったんだ!?」と聞きたくなります。

初音映莉子は(蒼○優とキャラが被るんで)あまり重宝されませんが、「終戦のエンペラー」に続いての出演作。
ここ数年で演技が上手くなりましたね。「うずまき」の頃は酷かったですから…(個人的には好きでしたよ)。
全体を見渡しても俳優陣に非は無くて…それだけは(ネットの人たち)取り違えないで欲しいです。

 

重要なのは、大コケしたから酷いんじゃなくて、志が低いから大コケしたんだということ。
今回は興行収入が惨敗したから偶々話題になっていますが、それ以前にもトンデモ作品は多かったわけで…
平気で「見ないで評している人」もいますから…"我々の受け取り方"に課題があるのかもしれません。

 

映画「ガッチャマン」ハッキリ言って、全くお勧めできません。ハードルを下げ切ってから見ましょう。